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女性をきれいにするのは、恋をしているという充実感

「セックスできれいになる」。こんなキャッチフレーズが女性誌の表紙に初めて登場したのは、1989年のこと。当時は世間にセンセーショナルな印象を与えていましたが、いまでは多くの女性が (もしかすると男性も)、このことを常識として受け止めているようです。たしかにセックスをきっかけに、女性はきれいになります。恋心が芽生え、セックスをしたいと思うほど好きな異性がいるというだけで、女性は輝くからです。その人からパートナーとして認められたい、愛されたいという気持ちから、多くの女性が内面を磨き、外見を整えます。日ごろからボディケアに気を配り、プロポーションの維持に努めている人もいるでしよう。デートのときに「何を着ていけば、彼は私のことをきれいと思ってくれるかな」と考えながらその日の衣服を選んだ経験は、誰にでもありますよね。そうしたことの積み重ねでセンスが磨かれ、女性は洗練されていきます。

パートナーとの恋が成就し、結ばれて、充実したセックスライフを送ることができれば、女性の魅力は倍増します。パートナーとの関係がうまくいっているということを、心と身体で実感している女性からは、自信が伝わってくるものです。愛されている実感から、表情もいきいきしてきます。つまり、セックスできれいになるというのは、いい恋愛をしている、いいセックスをしているという内面の充実が、外面にも表れるからにほかなりません。そして、それによって外見を磨くモチベーションがアップしているからです。

これはあくまで気持ちのうえでの問題です。多くの人が信じているように、セックスをすることで女性ホルモンの分泌量が増えて、きれいになるわけではありません。残念ながら、医学的にそういうデータはないのです。これはまさに、女心のなせるワザ。10代の少女から、孫がいる年ごろのご婦人まで、恋する気持ちひとつで変わるのですから、女性というのは不思議です。

一部の脳科学の本などでは、脳の視床下部などから分泌されるドーパミンやセロトニンといった神経伝達物質のことを″恋愛ホルモン″と名づけて、紹介しているものもあります。雑誌などでは、こうした脳内物質と生殖器から分泌されるホルモンを区別せず、同列で扱っている記事を散見することもあります。これでは、読んだ人が混乱するのも無理からぬことだと私は思います。

当サイトではあくまでも、正確性を重視する観点から、医学的に性ホルモンと呼べるものだけに限定して解説していきます。ホルモンとは何か。そして、どのように向きあえばよいのか。当サイトの内容をよく読み、世間に流布しているうわさが本当かウソかを検証しながら、ホルモンについての知識を緒に身につけていきましよう。「セックスをすると女性ホルモンが分泌される。それによって肌や髪にツヤが出る。その結果、女性は美しくなる」。これは、女性誌をはじめとする昨今のメディアが作り上げた俗説といっていいでしよう。医学の常識であるホルモンの役割や分泌の仕組みとは、大きな隔たりがあります。

女性ホルモンが、女性を女性らしく見せる役割を担ったホルモンであること自体は、間違いではありません。特にエストロゲンと呼ばれる卵胞ホルモンには、丸みを帯びた身体つきや、ツヤツヤとした髪、ふつくらとした肌を作る役割もあります。けれど、この女性ホルモンは自分の意志で増やせるものではなく、ましてセックスによって分泌が促されるものでもないのです。

一方で、″フェロモン″という言葉もメディアでよく見かけます。「フェロモンメイク」「ワンピースでフェロモンアップ!」のような記事や番組を目にしたことがあるでしよう。ホルモン同様、本来の意味とはかけ離れて使われている言葉の一例で、ホルモンと混同しているのではないかと思わされることも頻繁にあります。フェロモンとは、動物が異性にアピールするために分泌する生理活性物質のこと。ところが、昨今のメディアでは″モテそうな雰囲気を醸し出す何か″ ″性的魅力をアピールするための何か″といった意味合いで使われることが多いようです。

女性ホルモンも、これと似たような使い方をされています。″性的魅力を引き出すための何か″ ″女性美を保っための何か″。しかし、女性ホルモンというのは、そんなにあいまいなものではありません。女性ホルモンによって女性として機能し、妊娠や出産といったシステムが動いているといっていいほど、明確で重要なものなのです。

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